第8章 死神
パソコンの液晶パネルにスマホのカメラを向け
まーくんの家の住所と電話番号をそこに収めた
規約違反なのは重々承知の上だ
もしコレがバレたら…多大なペナルティーが課せられる事も
それでも
どうしても今日、会いたかったんだ
…本当の俺の誕生日に。
「悪ぃ、悪ぃ。遅くなって
電話あったか?」
「無かったですよ。
じゃー俺、今日はこれで」
「おー、お疲れ」
太一さんと入れ違いで事務所を出ると、直ぐに撮った写真を確認した
電話…したら出てくれるだろうか
写真から暗記した11桁の番号をタップする
『只今おかけになった電話番号は電波の届かない所にあるか…』
「ダメか」
電話は繋がらない
…行くしかないか
ここからまーくんの家まではそう遠くはない
未だ明るい空の下を
期待半分、不安半分で歩き始めた
「ココで合ってんのかな、」
都心から少し外れた場所にある小さなマンションはシンプルな作りで
外壁の白と窓枠の茶にツル科のグリーンが映えて
オシャレさもあってまーくんぽいな、って思った
― ピンポーン ―
インターホンを押すけど返事は無い
諦めて帰ろうとした時
「誰?」
後ろから男の人に声をかけられた