第8章 死神
素直に言えるかな
まーくんに触れたい、って…
男相手は手慣れたモンだけど
自分から触れたいなんて思った事ないから変な感じだ
まーくんだって
俺を女の子だと勘違いしてたくらいだから
服着てる分にはたいして気にならないだろうけど
身体を見たら一気に冷めるんじゃないかと思う
「もしそうなったら、俺…ショック受けたりすんのかな」
ベッドに突っ伏して考える
バリネコチックな発想してんな…って思うのに
なんか笑えない
「認めるべきだよな、」
俺はまーくんを好きなんだと思う
まだ言葉にして伝えてはいないけど
人に興味を持って
その人を好きだと自覚するのは
小学生の時以来だろう
その子の名前、なんてったっけな
そもそもそれが恋だったのかすら思い出せない
まともな恋も知らずに
身体だけを繋げてきた
初めての女も
初めての男も
顔さえ覚えていない
だからさ
これが俺のハジメテなんだよ
ハジメテの恋なんだよ
こんな俺でも、まーくんに捧げられるハジメテがあった
変性意識の微睡みの中で貴方を想う
あの柔らかな笑顔を
俺を呼ぶ声を
何度も思い出す
夢でもまた、まーくんに会いたい。