第8章 死神
目を閉じるけど
一向に柔らかい感触は降ってこない
気配だけは数センチ側に感じるのに
そっと薄目を開けると
まーくんは至近距離で俺を見つめていて
「なっ…///」
「ごめん
可愛いなぁって見惚れちゃってた」
ズルいよ
そんな風に言われたら怒れないじゃんか
「まーくん、悪趣味だっ…!」
「怒った…?」
「怒ってはナイ…けど、」
言えるかよ
俺のドキドキ返せ、なんて
「カズくん」
「ん…?」
「好きだよ。」
目を瞑る間もなく 重ねられた唇は
チュッと音を立てて
こんな幼稚なキスで心を揺さぶられる俺は
ホントにどうかしてしまったのかもしれない
「…っ、はぁ…」
「ふふっ」
「あっ。笑ったな?!」
「だってまーくん、顔、真っ赤」
「これでも結構頑張ったんだぞっ…!
そっ、外でチューするなんて初めてなんだからっ…」
“ハジメテ”
その言葉に浮き足立つ自分がいる
今まで誰とも経験したことのない事を
俺としてくれる
俺にも
まーくんに捧げられる“ハジメテ”があればいいのに