第7章 月
「ちょっとトイレ」
翔ちゃんが席を立ち、リビングのドアが閉まった所で風間が身を乗り出した
「相葉くん、」
「うん?」
「俺、和也くんに会ってみたいです」
それって、カズくんを指名するって事…?
「翔さんには首突っ込むなって言われたけど、やっぱ気になるっていうか…
バッティング行くんですよね? その時俺も…
あ、もちろん偶然って事でいいんで、」
「…うん、わかった」
「お前ら何コソコソやってんだよ?
まさか良からぬ事を考えてんじゃねーだろうな?」
いつの間にかトイレから戻った翔ちゃんが
俺達の内緒話を嗅ぎ付けるから
「ナイ、ナイっ…!」
慌てて否定したけど
…バレたかな?
別に悪い事してる訳じゃないと思うんだけど
これってカズくんを騙す事になるのかな
風間の意図に気付けないまま俺は
次の予約の事を考えていた
「そういや、風間
誕生日は彼女と?」
「そうですね」
「いいなー
俺も上手い飯作ってくれる彼女欲しいわ」
そっか、誕生日か
見せてもらった保育園の写真、同じ誕生月の子を集めて撮ったんだったって言ってた
って事は、カズくんも6月生まれだよね
いつなんだろう
カズくんが生まれた日…