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デリバリー【気象系BL】

第1章 吊るされた男


実家の最寄り駅で降りてビニール傘をさして歩き出した
車の免許を取ってからは電車に乗る機会も減って
久々の総武線は学生時代に戻ったようで懐かしかった


今は仕込み中かな
親父と母ちゃんは相変わらずだろう
祐介の奴はどうだ?
アイツ、元気にしてんのかな…


同じ料理の世界に飛び込んで
それぞれ別の店で修行を積んだ
親父は俺には30歳になるまで家では働かせないと言ったのに
弟の祐介はちゃっかり3年で戻ってきて
今では店のデザートを担当してる

腕、上がったかなぁ…



「あ。」



店の前で
半透明のビニール傘をさしたまま
佇む人が、一人
準備中の札が掛かってんの見えてないのかな


「営業開始は11時からですよ」


背中越し
声をかけたその人が振り向いた






……っ!






心臓がドクン、と波打ち
そこに流れる時間を止めた
それはまるで雷に打たれたかのように
指先一つも動かせない程に

あぁ…こういうのってなんて言ったっけ

金縛り?
違うな

そう
そうだよ



コレは確か
一目惚れってヤツだ
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