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デリバリー【気象系BL】

第1章 吊るされた男


その日の朝は最悪で
泣き腫らした目は充血してるしパンパンだし


「あったま痛ぇ…」


今日が休みでよかった
こんな顔を職場で晒したらアイツに何言われるかわかったもんじゃない


飲んで泣いてスキッリして
爽やかな朝を心機一転迎えるつもりだったのに
本日の天気は、雨
俺の心もどんよりで…

立ち直りは早かったはずなのに
単純明快が俺のウリなのに


「はぁ…」


話し相手の一人でも居れば
この気持ちも少しは違っただろう

サラリーマンの翔ちゃんと風間は今日も仕事のはずだし
他に家に呼べる友達なんて居ないし


静まり返った部屋に雨音だけがやけに響く
それがなんだか妙に寂しくて
BGM代わりにテレビの電源をパチンと付けた



『今日のタロット占〜い
11位は乙女座のあなた!』



今日は洗濯物は部屋干しだな
柔軟剤を気持ち多めにしておこう

洗濯機を回してリビングに戻ると
ソファーに寝転がって目を閉じた



『3位は山羊座のあなた!』



…3位か。悪くないじゃん
普段占いなんて気にも止めないけど
てか、イイ事しか信じないけど



『タロットカードは“吊るされた男”
ピンチはチャンス!逆境を受け入れる事で思わぬ幸運が舞い込んでくるでしょう。
ラッキーフードは餃子です!』



逆境を受け入れる、ね…
なんだか今の俺にピッタリで
思わずフッと頬が緩んだ

たまには実家に顔出すか
ラッキーフードは餃子らしいし、ね
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