第7章 月
今度は中学の卒業アルバムのようで
臙脂色の表紙には“飛翔”と書かれている
1年生から3年生までの学年行事や学校行事
部活動
校外学習
様々なスナップ写真の後に、クラス毎の集合写真が載っていた
どのスナップ写真を見ても
クラス写真を見ても
その中に…カズくんの姿は見付けられなかった
「カズくん居ないじゃん」
「そうなんです。居ないんですよ、何処にも」
転校したんじゃないの?
最初はそう思ったけど
「卒業者名簿のとこ、見てみてください」
風間にそう言われて最後のページを開くと、
「えっ… なんで…?」
名簿には
“大野 智”
という名前が載っていた
「どういう事…?」
「…訳わかんないですよね。
でもコレ、両方とも和也くんの学年の卒業アルバムなんですよ
だから勿論、和也くんのお兄さん…智さんの写真も載ってません」
「つまりどーゆー事だよ?」
風間が話してくれた内容
それは想像を遥かに超えていて
何をどう言ったらいいのか
言葉が見つからなかった
誰も一言も発さないまま
ビールの缶に付いた水滴がテーブルを濡らすのを
ただ
じっと見つめていたんだ