• テキストサイズ

デリバリー【気象系BL】

第4章 魔術師


俺達は芸術家の母と音楽家の父の間に生まれた
両親の才能は見事に兄さんに受け継がれ
俺は音楽の才能のおこぼれを貰ったくらいで。

兄さんは母さんの自慢の息子だったんだ
だからといって、決して俺が放置されていた訳じゃないけど…


絵画の家庭教師が付いていた兄さんは
早々とその才能を開花させていった
描いた空の色は言葉では言い表せない程の
どこまでも吸い込まれそうな永遠の青色をしていたのを今でも覚えてる

一方の俺は
ピアノも
ギターも
声楽も
所謂、お教室と呼ばれるものは一切続かなかった


『カズはカズの思うように
好きな事を楽しんでやって欲しいな』


普段、人に意見する事なんてそうそう無いのに


『僕には出来ない事だから』


そう言って貴方は哀しそうに微笑ったよね








『幕張?』

『うん。嫌かな…?』

『嫌じゃないけど…
勝手になんて、怒られるよ』

『なぁ、カズ。頼むよ
どうしても見たいんだ』


幕張で三日間だけ開かれるという個展は、当時はまだ無名だった画家のもので
王道から大きく路線の外れたその人の作品は、母さんにとっては間違いなく邪道…
とてもじゃないけど言える訳なんてないから内緒で一緒に見に行かないか、と
ある日、兄さんに誘われたんだ
/ 158ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp