第3章 力
キャラメルパンケーキが運ばれてくるまで
目の前に居るカズくんをジッと観察していた
ストローを支える手は、左手
きっと左利きなんだろう
人差し指で前髪を流すクセ
口元のホクロ
茶色い瞳…
「そんなに見られてると穴が開きそうだよ」
「ご、ごめんっ…!」
…だって、どれだけ見てても飽きない
「もしかして、ウチみたいな店利用するの初めて?」
「うん、初めて」
「そっか。
相葉さんはどっちなの?」
「…え?」
「タチ? それともネコ?」
「?」
小声で聞かれたけど何を言われてるか分からなくてポカンとしてる俺に
『攻めか受けかって事だよ』と教えてくれた
「や、俺はそーゆーんじゃなくて…!
ノーマル、だし…」
「じゃあ…なんで、俺?」
…だよね。
不思議に思うよね
「お待たせ致しました」
運ばれてきたキャラメルパンケーキは、たっぷりの生クリームにフルーツも添えられていて
「カズくんも良かったら食べて!」
「いや、」
「甘いのダメ?」
「んー… 生クリームが…」
「生クリーム苦手なんだ?」
「なんか、空気食べてるみたいじゃない?
ってか、このニュアンスで伝わるかな?」
「ふふっ。伝わった!」
生クリームが苦手。
どんどん知って行く、カズくんの事。