第2章 愚者
ベッドルームで背中から抱きしめられながら
ポツリ、ポツリと降り出した雨に反射する東京の夜景を見下ろした
「…綺麗だね」
「カズのこの白いうなじの方がよっぽど綺麗だよ」
首筋に落とされるキスに
小さく喘ぎを漏らした
「雨露に濡れた紫陽花よりも?」
「もちろんさ」
ねぇ、知ってる?
紫陽花の花言葉は“移り気”なんだよ
「俺の事も濡らしてよ… 6月の紫陽花みたいに」
振り向いて藤堂さんの首に手を回す
欲しがって… 俺を
そして名前を呼んで
「カズ…」
「んっ…」
重なり合う唇
部屋中に響く水音
急速に紐を解かれ
バスローブがパサリ、と落ちる
「いいよ。此処でシよ…?」
ベッドサイドに置いたローションを指差し
窓枠に手をついて尻を突き出した
「んぁっ…」
快楽に馴らされた身体は正直だ
一本、二本と増やされていく男の太い指が出入りする度
中が熱くなっていく
「ぁぁっ…! もっ、と、奥っ…!」
「いいね、すごく淫らだ」
天を仰ぎ始めた俺自身を掴んで上下されると
無意識に腰が揺れる
「やっ…ぁ、ぁ… 欲しいっ…藤堂さん…!
お願い…挿入て…?」