第15章 デリバリー
重なった唇から一気に全身が熱を帯びていく
このまま食べ尽くしてしまいたい
息もできない程に、カズくんを。
「…んんっ…… はっ…、ぁ… もうっ、バカッ…」
真っ赤になって俺の胸をトン、と押す
「せっかくチキンとシャンパンも買ってきたんだから
お祝いが先…ね…?」
そんな風に甘えて言われたら我慢するしかないじゃん
「俺専用のスィーツはその後?」
「その後。」
たっぷり味わって。なんて耳元で囁くから
「早くっ! 早く食べよっ!」
慌ててキッチンに向かうと、背中からクスクスと可愛い笑い声が聞こえた
「じゃあ偶然だったの?」
「うん、ホント偶然」
マンションまであと少しと言うところで、道向こうから大きな声で名前を呼ばれて。
振り返るとそこにはサンタの格好をしたダイゴくんがピザ屋さんのバイクに跨って手を振ってたんだって。
「ダイゴくんもお店、卒業したんだね」
「うん。宅配する側も意外と向いてるみたい、って笑ってたよ
これから彼氏の家に行くのかって聞かれたから、サプライズなんだって思わず言っちゃって。
そしたらアイツ、サンタからのプレゼントにしましょうなんて言うから、つい、」
あの日、俺に宣戦布告をしたダイゴ君。
そのダイゴ君がカズくんのサプライズに協力してくれるなんてね
なんだか嬉しいよ