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デリバリー【気象系BL】

第15章 デリバリー


「カズくん、なんで…?
今日バイトで遅くなるはずじゃ、」


街の小さなケーキ屋さん
ハイシーズンさながら隠れた人気店でもあるから、この時期は毎年会えないのが常なのに


「今年くらい早く帰ってやれ、ってオーナーが」

「ほらほら、話は後!
俺バイト中なんで行きますね!
ほな、良いクリスマスを!」

「ありがとう、ダイゴ君。バイト頑張って!」






ダイゴ君の背中を見送って部屋の中に入ると
ケーキの箱とレジ袋をテーブルの上に置いたカズくんがギュッと抱き付いてきた


「昨日ね、オーナーから突然『試験だ』って言われて」

「試験?」

「今年はイチから自分で作ってみろって、」


5号サイズの生クリームデコレーション
艶々のイチゴが乗った可愛らしいケーキは
オーナーの計らいで社員とアルバイトは毎年貰える事になっている


「じゃあ、これ、」

「…俺が作った」

「開けてもいい?」

「うん」



「わっ、凄い…!」



クリスマスツリーとサンタのオーナメントに
2と8の形をしたろうそくとホワイトチョコのプレートが乗っていて
“おたんじょうびおめでとう”の印字の下にはチョコペンで “MASAKI” って書いてある


「…まだまだ下手クソなんだけど、」

「そんな事無い!
ありがとう、カズくん…!」


照れ臭そうに笑うカズくんを
今度は俺が思い切り抱きしめた
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