第15章 デリバリー

風間は結婚して幸せな家庭を築いてる
最近奥さんの妊娠が発覚したんだって。
あの風間がパパになるのかと思うとなんだか感慨深い

そして俺はというと、





「まだ仕事中かな、カズくん」


誕生日おめでとうは
日付が変わった瞬間に電話で言ってくれた
お互いに今日と明日は書き入れ時だから
俺達が会えるのは毎年26日だ

去年も一昨年もそうだったから
別に寂しいわけじゃないけど、




『…三年。 三年待って…？ そしたら俺、』




“幸せにしたい”と言った俺はカズくんに待ったをかけられて、


「もうすぐ三年半、だよ…？」


お互いの家を行き来しながら、大きな喧嘩をする事も無く愛を育んできた

今年のカズくんの27歳の誕生日に改めてプロポーズしたんだ
だけどやっぱり返事は
『もうちょっとだけ待って』
だった




―― ﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝ ――




リビングに響くインターホンの音
誰だろうこんな時間に
まさか酔った翔ちゃん達が押しかけてきたとか…？


「はい、」

『まいど！ Delivery's PIZZA です！』


モニターに映っていたのは
サンタの帽子を被ったピザ屋さんで


「すみません、頼んでないんですけど…」

『えぇから、えぇから！ はよ開けてや相葉さん！』


ホントにピザなんて頼んでないんだけど
っていうか、表札出してないのに苗字を知ってるとか
なんだかちょっと怖い。