第15章 デリバリー
「うーっ、さぶっ。」
今日も一日良く働いた。
店の中は予約のカップルで一杯で
テーブルに置かれたクリスマスツリーや雪だるまのスノードームを指差しながら仲睦まじく微笑み合ってたりして
「疲れたぁ」
世の中はクリスマスムード一色で
今日が自分の誕生日だって事さえ
仕事終わりに翔ちゃんから送られてきた動画を見るまですっかり忘れていた
『Happy Birthday & Merry Christmas 雅紀!
28歳おめでたまきん Yeah〜!』
オープンしたばかりの潤のイタリアンレストランを貸し切って
翔ちゃんと、潤と、風間と、風間の奥さんとでクリスマスパーティーを満喫中なんだって。
『雅紀 Yeah〜!』
だいぶ出来上がってるのか、クリスマスと俺の誕生日を祝うのになんで翔ちゃんと潤のチューを見せられたんだろ、俺。
風間の『もっとやれ!』と囃し立てる声と
風間の奥さんの笑い声が聞こえていた
一昨年の冬だったか
居酒屋で偶然会った、翔ちゃんと潤。
『その節は雅紀が色々とご迷惑をおかけしまして、』
『いえ、』
そんな会話から一緒に飲むことになって
何故だか意気投合して
そして、惹かれ合った
俺と違ってそこから先の二人の行動は早かったように思う