第13章 悪魔
「…おんなじ、だ…
夢で見たのと同じ………あっ…!」
『どうしました?』
「続、き… 夢の、続きが…!」
カズくんの声が僅かに震えてる
側に行って“大丈夫だよ”って抱きしめてあげたい
そんな衝動に駆られた事にいち早く気付いた翔ちゃんが俺を制止する
“雅紀”
今はまだダメだ、と目で訴えられて
ギュッと唇を噛んでその場を耐えた
「兄、さん… 兄さん…!」
苦しそうに伸ばされた手は空を掴んで
そして涙が一粒、零れ落ちた
「…っ!」
ビクン、と小さく身体をしならせたあと
ゆっくりと瞼を上げる
「カズくん…!」
「……まーくん、俺…
全部… 全部思い出した…
俺っ…!」
「うんっ… ゆっくりでいいから…
頑張ったね… 辛かったね…」
震えるカズくんを抱きしめて
その小さな背中を
何度も、何度も擦っていた
「大野くん、落ち着いた…?」
「うん…」
カズくんの側を離れられない俺に変わって
翔ちゃんが珈琲を淹れてくれた
「ありがとう、翔ちゃん」
「あぁ」
「…話せる? 大野くん」
カズくんが小さく頷いた