第12章 星
朝食を食べ終えると
そんなに気を遣わなくていいのに、と言うまーくんを押し切って
せめてもの気持ちで洗い物をさせてもらった
そして今
まーくんの出勤までの残り僅かな時間を
ソファーに二人、寄り添って過ごしている
「あのさ、まーくん…」
「うん…?」
「人の記憶の信憑性ってどんなもんなのかな…?」
「どんなもん、って…?」
「経験したことを正しく記憶してる確率、って言うのかな
それってどうなんだろう、って…」
「カズくん、」
「知りたいんだ、俺のあの日の記憶に間違いが無いのかどうか…」
「夢を見たから、だよね」
まーくんの問いに
俺はコクリと頷いた
だってヤケにリアルだったんだ
潮の匂いとか
砂浜を踏みしめる感覚とか
「深堀りするのは怖くない…?」
「俺のせいで兄さんはレイプされて殺された、ってずっと思ってたんだ
今更別の事実が出てきた所でちょっとやそっとじゃ驚かないよ」
「そっか…
カズくんがそう言うなら…協力するよ」
「えっ…?」
「カズくんの記憶を手繰り寄せるお手伝い、俺にもさせてくれる…?」