• テキストサイズ

デリバリー【気象系BL】

第12章 星


兄さんを失ってから
俺はずっと一人だった
孤独だった


「朝ごはん、パンでいい?
あと、スクランブルエッグとウインナーと、サラダにヨーグルト」

「凄い。ちゃんとした朝ごはんだ」


実家にいた時でさえ、朝ごはんは抜く事が多かった


「朝はしっかり食べないとね。
あっ。グレープフルーツもあるよ!」


パンをトースターにセットして、手際よく卵をかき混ぜる


「卵にコーヒーのミルク、入れるの?」

「そう。美味しくなるんだ」


さすがシェフ。
手際よくあっという間に出来あがった朝食は
白いお皿に映えて芸術的だ
ガラスの器のヨーグルトにベリー系のソースをかけてくれて


「さ、食べよ?」

「「いただきます」」


向かい合って食べる朝食が擽ったい。


「どう?」

「美味しい! 卵、ふわっふわ!」


…優しい味。
まーくんの、味。


「ふふっ。良かった」

「まーくん、」

「うん?」

「…ありがとう。
朝食ももちろんだけど、その、色々…」

「お礼を言うのは俺の方だよ」

「え…?」


カチャン、とフォークを置く音がして
まーくんが俺をじっと見つめる


「生まれて来てくれて
俺と出会ってくれて
俺を好きになってくれて
俺のものになってくれてありがとう、カズくん」

「…っ、」


ありがとう、まーくん。
まーくんと出会えたことで
十年間止まっていた大野和也としての人生が
もう一度動き出した気がするんだ
/ 158ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp