第12章 星
会わせたい人が居る、と言われた
その人が俺と会ってくれる確率は半々らしいけど…
まーくんの出勤時間に合わせて一緒に家を出て
途中まで並んで歩き、行ってらっしゃいとその背中を見送った後
それまでオフにしていたスマホの電源を入れた
「またか…」
溜息も出ない程の山の様な着信履歴とメール受信履歴
“智、ずっと留守電になってるけどどうかしたの?”
“メッセージ聞きましたか?
智から返事がないので心配です”
“智、連絡して”
母さん
俺ね、生まれ変わったんだよ
大切な人が出来てね
その人が呼んでくれるんだ、『カズくん』って
凄く優しい声で
俺の事、呼んでくれるんだよ
だから俺は決めたんだ
和也としてもう一度生まれ変わるって ―――
入れたばかりのスマホの電源をもう一度オフにした
早く家に帰って、昼寝がしたい
まーくんの温もりを思い出しながら幸せな夢を見るんだ
“カズくん好きだよ”って笑顔で俺を抱きしめてくれる
そんな幸せな夢が見たいんだよ