第12章 星
『兄さん!?
何やってんだよ!隠れんぼなら付き合わないよ!』
『ごめんな、カズ
俺…もう、家には帰らない』
『はぁっ!? 何バカなこと言ってんだよ!
ふざけるのも大概にし…』
『ふざけてないよ』
水の滴る音と
やけに共鳴する声
そしてその後ろで僅かに聞こえる、波の打ち付ける音
『どこに居るんだよ
頼むから教えて…!』
そう遠くへは行っていないはずだ
キョロキョロと辺りを見渡す
可能性があるのは……
あそこだ!
『なぁ…カズ
俺さ、この間賞取ったろ…?』
『あぁ…取ったね
凄いと思ったよ、中学生が取れる賞じゃない』
刺激しないように、悟られないように
なるべく話を延ばしながら俺はその場所へと向かう
『俺もね、驚いたんだよ
俺の作品が…俺の作品じゃなくなってた事に』
『え…? それってどういう…』
『手を加えられてたんだ』
俺は思わず足を止めた
『そんな、そんな事誰が…!』
そこまで言ってハッとする
そうだ
そんな事をするのは
母さんしかいない