第10章 審判
『ホラ、どれが食いたいんだよ』
トモさんが面倒くさそうに財布を取り出す
『買ってやるから早く選べよ、カズ』
あぁ、もうお芝居始まってるんだ。
『…っ、じゃあ…コレ。』
苦手な生クリームの入っていない、チョコレートソースにバナナとアーモンドの入った王道のクレープを指差す
『イチゴも好きだよな? なぁ?』
『うっ…うん、』
好きなの選べって言ったくせに
これじゃまるで脅迫だ
二人で向かい合ってクレープを食べる
『美味いか?』
『うん、』
確かに美味しいけども
こんな甘いの食べきれないよ
それにさ
こんな事をする為に貴方に付いてきた訳じゃないのに
『甘いモンってさ、』
手が止まる俺に
トモさんが小声で話しかける
『食ってると、生きてる!って感じするだろ?』
言ってる言葉の意味がわからなくて反応出来ずにいると
トモさんの手が伸びてきて
俺の髪をクシャッと撫でた