第6章 体育祭
正にフリーズした
先の思考で脳裏を掠めていたものを
どストレートに投げつけられた
あの爆豪が……?
信じ難い言葉が飛び出したことで
頭が真っ白になる
「……言っとくがよ…もう二度と言わねえからな」
初めて見る爆豪の紅潮した顔に
先程の台詞が冗談なんて軽々しいものではない事を痛感させられる
『爆豪……』
貴方も恋なんてするんだね
しかも
その好意を
こんな私に抱いてくれるなんて
きっと今
この世界で一番の幸せ者は
私だ
『爆豪……私…』
この先紡ぐ言葉は
ずっと前から決まっていたのよ?
なのに
「まだ返事は要らねえ」
『…え』
喉から出かかる想いを遮るよう
爆豪は言葉を重ねる
「体育祭
俺が優勝する
から
そん時聞かせろ」
『………そ…う』
先程の顔とは打って変わり
今度は今まで見た事ないほど真剣な
覚悟を決めた顔をする爆豪に
『…分かった
勝とうね、体育祭』
そう
笑って
打ち切る事にした
後にして思えば
何故この時
すぐに思いの丈を伝えなかったのかと
後悔する事になるとは
この時の私は
知る由もなかった