第6章 体育祭
予鈴のチャイムを合図に
私たちは保健室を後にした
「あんま寝れてなかったのか?」
『あー…そう、ね…』
あの襲撃の日から
色んな事が頭を支配して
眠りにつくことを許してくれなかった
「そういえば、名前…神奈っつうんだな。よろしくな」
『うん、よろしく。あなたは何て呼べば…?』
「轟…焦凍、下の方で呼んでもらって構わねぇ」
『焦凍…うん!了解!』
イケメン君、改め焦凍君と
食堂以来の会話を果たすことが出来た
彼は基本的に無口で無表情らしい
どこか心操君と似た雰囲気だなと
勝手に居心地よさを感じていた
そんな焦凍君がまた
次の話題を話そうと口を開く
「寝言でさ、神奈」
『ん!?』
え
寝言なんて言ってたのか!?
なんか凄く恥ずかしいんだけれども
『…な、何て言ってたの…?』
恐る恐る聞いてみることにした
すると…
「翔……って」
『!!』
あぁ…
私、そんなことを…
「翔って、あの敵も言ってた名前だよな…?」
あの敵…
体に手を着けていた人のことだろう
『……』
何て答えたら良いのか
分からない
「その翔って奴は、なんなんだ?」
『あー……まぁ翔は…所謂、幼馴染…というやつで…』
語気が弱まる
「幼馴染…なら、今はどうなんだ?」
今もまだ
そいつと関係を持っているとなると
お前の立場は……
『…今は……どこに居るのか、生きているのかさえ、知らなかった…』
幼馴染なのにね
なんて、少し自嘲気味に薄く笑いかける
「…そうか…」
彼はまた納得したのかそうで無いのか
読み取れない表情のまま
そう言った