第6章 体育祭
『うっ…ぅうあぁああ』
その日
神奈は夜通し
僕の家で泣き続けた
彼女は
大切な友達を助けることは
叶わなかった
その手で留めを刺してしまった
『もうヤダもう個性使わない!』
「神奈…」
あぁ
こんな事になるなら
彼女に個性を使わせなければ良かった
翔は腕の中で泣き噦る神奈を見てはいられなく
彼女の髪に顔を埋めて
目を瞑る
「…神奈は悪くないよ。僕が、君に個性を使わせたから…。」
『ち、がうの!んぐっわたったしが!私がミーをーーっぅあああ!!』
「……ッ」
なんなんだろう
この無力感は
僕の個性じゃ
神奈を笑顔にする事は出来ない
ましてや
ミーを治すことなんて
腕の中で大切な人が泣いているのに
かける言葉すら浮かばない
「…神奈」
彼女の嗚咽が
部屋で反響する