第4章 サイレン
『………あのねぇ』
呆れオーラを全開にしつつ放った言葉は
そこで止まることはなく
『怪我したら連絡して、って言ったよね?』
「あ?知るか」
無茶苦茶だ…
「俺が怪我してようがしてまいが関係ねえんだよ」
いや、意味が分からない
『私だって、自分の時間が欲しいんだから』
そう訴えるがこいつには届かないんだろう
……そう、こいつは
特に怪我もしてないくせに
あろうことか入学後
毎日のように連絡を寄越し
しかもそれは「来い」としか書かれていない淡白すぎる内容だし
しかも今まで一度も怪我をしていたことなんて無いのだ
なんて暴君…
『特に用事無いのに何で毎日呼びつけるかな…』
これじゃ、ただ一緒に帰ってるだけなんだけど……
呆れて物が言えなくなってきた
そんな私に見向きもせず
黒のタンクトップ姿の彼は私が手渡した濡れタオルで汗を拭き
用が終わると乱雑にこちらに放り投げる
そして例の如く「帰るぞ」とぶっきら棒に吐き捨てる
『私はあんたのマネージャーか』
そうツッコミたくて仕方がないが
大人しく付いていくのが無難だと
ここ数日で学んだ