第10章 白紙
目を覚ませば
そこは、病室のベッドの上だった
意識を失う直前に見ていた荒廃した景色とは打って変わり、清潔で真っ白な
整頓された部屋だった
思考がついて行かない
何が、あったんだっけ
さっきまで、私は――
ガバと勢いよく起き上がり、腕に刺さる点滴の針を力任せに抜く
翔
翔が…
助けなきゃ
今度こそ助けなきゃいけないんだ…ッ
どこにいるかも、無事なのかすらも分からない彼の行方を感情任せに脚を前に出す
駆ける廊下に、すれ違う人が次々振り返る
足跡の代わりに、腕から流れた赤い血が等間隔で描かれる
「はァ?!おま…ッ!!」
グイ、と強い力で腕を掴まれた
『ッ』
足が縺れ、音を立てて倒れ込む
『ハァッハァ…ッ』
息が、上がっている
「な…にやってんだテメエ…ッ!!」
頭上から大きな声がする
「~ックソ!点滴むりやり抜きやがったなコイツ…ッ」
ダラダラと流れる血が布で締め付けられる
ゆっくりと、頭を上げる
「マジで、頼むから……ッ」
泣きそうな顔をした、爆豪さんがいた