第9章 再会
「いいね…こういうのも、悪くないかも知れない」
死柄木がぼそりと独り言ちる
そしてまた余裕の笑みを張り付けて
今度は神奈を横目で見る
「あーあ、神奈。お前男の趣味は悪いのか?これのどこが良かったんだよ」
死柄木の言葉に眉をひそめ、嫌みを込めて返答する。
『………少なくともあんたよりは、何倍もまともに思えるわ。』
「ははっ!相変わらず可愛くねえ返し」
天井を仰いで大げさに笑う死柄木に、神奈も爆豪もどこか不気味さを感じる
そして突然、地を這うような声で、
「……いやさ、さっきはああ言ったけどさあ。
正直そう簡単にこの回復キャラ手放したくないんだよなァ」
ぐいと死柄木が神奈の腕を引く
『ッ』
バランスを崩した神奈は、力の流れに従い死柄木の胸元へと倒れこむ
『ちょっと…!』
キリと睨む眼光は
死柄木の手で覆われる
『ッ――…!』
神奈の頬を冷や汗が
上から下へと滴り落ちる
爆豪は咄嗟に臨戦態勢をとっていた
「できればどっちも、君たちの自由意志で
仲間になって欲しいと思ってる。」
「……手ェどけろ」
「でもまあ、どっちも、頑固そうなガキで…めんどくせえ
時間かけてでも説得したい所だが、ヒーロー達も調査を進めていると言っていた」
ぼそぼそと続ける死柄木に、
爆豪は焦りを爆発させる
「聞こえてんだろクソカス野郎!!!
とっとと神奈離しやがれ!!!」
「なあ、爆豪君」
死柄木が神奈の額をつうとなぞる
「君は…どこまで消したら、リセットできるかなあ」
低く這う声が
耳の奥をかけていく