第9章 再会
冷たい地下室に
神奈と爆豪と
そして死柄木の三人が
互いに一定の距離を保って座っている
爆豪の両手両足には
それぞれ枷がはめられていて
唯一の扉の向こうには
敵連合の全員が待ち構えている
「ちょっと、込み入った話をしようか
爆豪くん」
死柄木のその一言でこんな状況になっている
「おい、神奈」
爆豪が、離れて座る神奈に声を掛ける
『…な、何ですか?』
「てめえ…どこまで、覚えてる」
『っ……』
”覚えてるか”なんて聞き方は
我ながら女々しかった
『……ごめんなさい、何も
あなたの事は、何も、まだ思い出せない』
”まだ”と言ったのは神奈の優しさだ
「……そうかよ」
「くくっ」
「何がおもしれえんだよてめえ、このクソカスが」
声を漏らして笑う死柄木が気に食わず睨み付ける
「ああ、悪いね、趣味が悪かったな
そりゃ、そうだよな、個性で消したもんが
そう簡単に戻るわけないんだよなあ」
死柄木がどこか安心した様な顔をする
「おいカス」
「ん?」
余裕な笑み浮かべてんがよ
てめえのさっきの顔
「記憶消して、何日も何週もこいつといたくせに
好き勝手やってたくせに
不安なんかよ?
俺をさらっといて、俺にこいつの心が攫われんのがよ」
「………は…?」
ピリッとした空気が
肌を伝う