第8章 開闢行動隊
一種の希望が
あった筈だった
敵連合に連れ去られるのを
大人しく受容したのも
それが理由だ
神奈に、逢える
あいつを、助け出せる
もしそれが叶わずとも、
あいつを一人、
敵の中に閉じ込めておかずに済む
きっと、安心させられる――…筈だった
「非常に申し訳ない話なんだがさ、この子
半年間――…まあ、要するに
雄英に入ってからの記憶が一切合切ないんだよなあ」
まあ、俺らのせいだけどさ
そう、心底楽しそうに言う
「っ…あ、ああ!?」
声を荒げた爆豪に
びくりと神奈の体が小さく跳ねる
んだよその反応は
マジで覚えてねえのか?
「っんな、こと……ッ」
「だがもし」
言葉を遮るように死柄木が爆豪へと歩み寄る
「もし、爆豪くんが
素直に俺達に協力してくれるなら
戻してやっても良い
記憶も、場合によっては神奈ちゃんの日常も――…全部。」
提示された条件に
爆豪と神奈が眉を顰めた
「な…」
『ッ…!!』