第8章 開闢行動隊
決定的にアイツの面影を感じない行動を取られるまで
疑いもせず神奈との再会を喜んでいた
「…てめえ、何モンだ…ッ?」
先程より幾分冷静に言葉を発せた気がする
同時に轟も身構える
「……」
詰問に対し、ポカンとした表情をするそいつは
次の瞬間、神奈の顔では見たこともない様な
不気味なものへと変形した
「おかしいねえー?
聞いてた情報と違うねえ」
首を傾げ、不気味に口角を上げたそいつは
誰が見ようと、別人のそれだった
「ッ!!」
臨戦態勢に入った轟と爆豪は
咄嗟に距離を取り、敵を分断するため氷壁を張る
「ねえねえ荼毘くん!
私何か間違えました?
ねえねえ!神奈ちゃんの好きな人は爆豪くんだよねえ?」
もう一人の敵を振り返り
呑気に話し始める
「体育祭以前の情報では…な」
「あ?」
含意のある物言いに
爆豪は眉間を寄せる
「無知は罪だと言うが
寧ろ救いかも知れないな」
継ぎ接ぎの男は不敵に嗤い
轟の張った氷壁へと炎を放つ
「お前らはここに連れて来られた時点で
既に術中なんだよ」
爆豪を庇う為
氷壁を破られまいと
新たに張る
「ッ爆豪!むかつくが確かに術中だ!
敵の思惑通り誘導された時点でな!」
おそらく、いや、必ずここには仕掛けがある
爆豪が狙われている以上、敵の策に嵌まっている今の現状は非常にまずい
「とにかく今は逃げるぞ…!」
そう振り向いた先には
誰も居なかった