第8章 開闢行動隊
神奈の誘導に従って
しばらく進むと
またテレパスが頭を走った
《A組B組総員――…
戦闘を許可する!》
「はっ
良いのかよ先生よォ」
敵顔で不気味に嗤う爆豪に
信号は続く
《敵の狙いの一つ判明――!!
生徒の「かっちゃん」!!》
「は?」
「あ!?」
《わかった!?「かっちゃん」!!
「かっちゃん」はなるべく戦闘を避けて!!
単独では動かないこと!!》
「…かっちゃかっちゃ
クソデクが何かしたなオイ!」
「キレてねえで俺の後ろ歩け」
「ざけんな!てめえが後ろ歩けや!!」
『おっきい声出さないで!気づかれんでしょが!!』
「お前の声が一番大きいよ」
神奈に怒られ反論出来なくなった爆豪は黙ってしまい、周囲を警戒しつつ
前へ進むことにした
そして暫く歩くと拓けたところに出てきた
「…施設どっちだ?」
『えっと…こっちだね
あれ、でも敵があそこに居るはずだから
そこを迂回して進まないとだもんね…
だから…ちょっと待ってね』
うーん、とぼそぼそ独り言ちる神奈
「なあ、神奈
ほんとに何もされてねえんだよな…?」
『え?』
眉尻を落とし、再度確認をする轟
『轟くんはホントに心配性だなぁ
全然大丈夫だって
ほとんど幽閉されてただけで
ご飯もちゃんと食べてたし』
「前より太ったんじゃねえか?」
『勝己はもう少し心配して欲しいな』
神奈が攫われる前の
そんな穏やかな会話が続いた
どこか
違和感があった
何かが違う気がした
それが何か
分からなかった
ザッ…
前方の茂みが揺れ
黒い影が月光に晒される