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【ヒロアカ】世も縋ら

第8章 開闢行動隊




「…おい爆豪」


阿鼻叫喚がこだまする中
気だるげな声が俺を呼ぶ


「……っ」




爆豪は個性を伸ばす為

熱湯に手を突っ込みながら
個性を発動させている

湯につけることで、個性である「爆破」を引き起こしている、汗腺(からニトログリセリンが出ている)を広げ
爆破の規模を広げる試みだ

彼の個性は連続で使うと手が痛む

彼を呼ぶ声の主は
いつも通りだらけた面しているが

返答しようにも声ならぬ声が出てしまいそうで
それを爆豪のプライドが許すはずもなく


しかめっ面を向けるのみとなった


なんだよ、と声の主を睨むが
相手はそれを気に留めることもなく
自分勝手に言葉を連ねる


「…お前、最近よそ見しすぎだ」


ポリポリと頭を掻き
そう言い放ったのは

彼の担任であり
ヒーローでもある

[イレイザーヘッド]
相澤消太

その人だ



してねえよ、とでも言いたそうな顔を相澤に向けると


わざとらしくため息を吐かれ


「自覚はあんだろ?

集中しろ。
でなけりゃ同じことの繰り返しだ」


「っ!……」


相澤の言葉はいつも率直なものだった
それ故誤解されがちであるが
厳しい言葉の中には必ず

彼の優しさが含まれている


「凪山を取り返すんだろ…?
お前らが仲良かったのは、俺も見てたからな」


歯を食いしばる爆豪を流し目に

どうしたもんかと顔を逸らす


「ここで足踏みしてんのが辛いのは分かる

だがなあ、お前はあくまで〈ヒーローの卵〉だ
個性を行使することも許されてねえただのガキだ

助けてえなら相応の資格が要んだよ
言いたい事…分かるよな?」


「っ…」


つまり


一刻も早く

助けたいなら


一刻でも早く

次のステージへ立てるだけの力をつけろっつうこと



ああくそッ!!


気持ちに呼応するよう個性が大きく爆発し
湯桶ごとぶっ飛ばす


「……ぁぁぁあくそ……ッ」



ズキズキと痛む手の平を

更に痛みつけるよう握りしめる

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