第7章 敵連合
地下から上がり、いつもの薄暗いバーに出る
『…ここが』
思っていたより綺麗なアジトだったからか
珍しく感心したような声を出す
「なんだ、気に入ったのか?
それなら良かった
なんせ毎日ここに顔出すんだからな」
『…口が減らないわよね』
一転、呆れ声を上げられる
『……ねえ』
「ん?」
今度はなんだよ
『……そろそろ服
着たい…です』
頬を染め、またも珍しくしおらしい神奈に
少し悪戯心が芽生える
「服って、お前自分で泥だらけにしてただろが
あれしか用意してないぞ」
『そんな…』
じゃあもう泥ついたのでも良いわよと、半ばやけくそに先の部屋へ取りに行こうとする
「待て待て待て待て、さっき言っただろ
お前は一人で行動すんな」
そう神奈を止める為、掴める場所をと
咄嗟にブラの紐を持ってしまった
そしてそれは案の定、瞬く間に塵になり
やっちまったと思考が巡った
『ッ!!!!』
バッとしゃがみ込み全力で隠そうとする神奈
「…悪い、ミスった」
『わっ…そ、ああもう!とにかく何か着させてよ!!もう本当最悪ッ!!!』
耳の中まで真っ赤なんじゃないかと思う位に朱に染まり憤る神奈に
流石の俺も、少しは焦る
が、面白い
俺の知ってるこいつは情報の塊なだけで
実際会ったのは二度、しかもものの数分程度だ
生身のこいつはこんなにも
人間臭くて、子どもで、
そして女だった
「…お前、思ってたより可愛いな」
『ッはあ!?』
そんな事より服寄越しなさいよ!!と涙を浮かべている姿すら
可愛いと思った