第7章 敵連合
神奈がいなくなった
その記事を朝
電車ん中、ネットニュースで見つけて
息が詰まった
体育祭午後の部
あいつは何故か姿を出さず棄権となった
その後も、二人で出掛ける約束をしていたのに
あいつのクラスの奴や先生に聞いても
誰に聞いたって
目撃情報すら、出てはこず
いくら連絡しても一向に繋がらず
体育祭の名残を残し
誰も居なくなった学校の校門で
日が暮れた後も待ち続けた
その時から
只事じゃないのは分かってた
けど、実際そう現実を叩きつけられるまでは
どこか、遅くにやって来たエイプリルフールの様な
そんな陽気な終わりがあるかもしれねえだなんて
一縷の望みを抱いていたんだ
敵に攫われそうになったあの日から
俺はずっと
こうなる事を恐れてた
なんで神奈なんだよ
あいつにあんな個性さえ無けりゃ
今迄もこれからも、あいつがこんな危険に晒されることは無かったんだ
なんでよりによって神奈に
好きになった奴に
んな個性持たせんだよ
ああクソ
そうじゃねえ
そういう問題じゃねえ
この事件は
あいつの内的要因とか
そういうもんの所為だけじゃねえんだ
あいつの危機に気付けなかった自分に
あいつを一人にした自分に
腹が立って仕方がねえ