第7章 敵連合
信じられない
あいつ、胸触ろうとしやがった…!
しかも無意識!?
男って本当にオオカミなんだね
変態アホバクゴーめ
なんて
心の中でぐちぐち言うが
頬は自然と綻んでしまう
それもそうでしょう?
こんなにも人に
愛して貰えるだなんて
誰が想像出来るんだろう
中学時代なんて、色恋には無縁の生活で
ああこれが噂の
高校デビューというやつなのか?
そんなつもりで入学した訳じゃあないが
人に想われて嬉しくない訳もない
人集りを上手く避けながら
目的の仮テントへ向かう
途中途中、沢山の人に声援を送られた
なんだかヒーローにでもなったような気分だ
師匠の居るそのテントに着き
元気良く中へ入ってみれば
そこにはテントに入りきらない程の
大勢の怪我人で溢れていた
『っ…!』
呑気にお昼ご飯食べてる場合じゃ無かった
浮かれた気持ちを瞬時に切り替え、白衣を着
大きく手を挙げる
『治癒がまだの人はこちらにも集まって下さい!私が元に戻します!』
その声に、安堵の表情を浮かべる人達が
私の方へと押し寄せる
「さっき騎馬戦で爆豪チームにいたやつじゃん…」
「治癒系の個性だったんかよ、分かんなかった」
「後輩かな?見た事ない子だね!環」
「いいから早く出ようミリオ…」
ざわざわと何か言われているがほとんど聞き取れない
一部は先程の騎馬戦を見て、信用してくれたのか
私の方に来てくれたが、まだまだリカバリーガールの患者の方が多い
けど取り敢えず、私は私の患者の治療をしないとね
向こうの方が多いと言っても
こっちにきた一部の人達だけでも
今の私で捌き切れるかどうか…