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【ヒロアカ】世も縋ら

第6章 体育祭





『……何だかあんた……翔みたい』


「!」



悲哀と慈愛を含んだ微笑みを目の当たりにする


何でそんな顔を


俺以外の男の名前を挙げて
作んだよ…




裏切られた様な苦痛が全身を襲い
思わず顔に出してしまい、

神奈もそれを感じ取ったのか
焦りを露わにし弁明を図る


『あっ…違っ…!…その…翔はその、なんて言うか…』


が、何とも舌足らずな事ばかりしか
音には出ない


『あー…その、爆豪に対して……その…不誠実なものを…言うつもりは無いんよ…?』


なんで決死の弁明台詞がそんな堅っ苦しいもんになんだよ

先程までの明からさまな態度と
神奈の堅さに呆れ
「はあ」と肺の中の空気を全て押し出す様に溜息をつき

平静を取り戻す



「…そいつ……どんな奴なんだよ」



食べきったトレイを神奈の居ない隣に置き

まるで何かを我慢する様に

校舎の壁を睨みつけ
背を曲げ肘に体を預けるようにし声を地に這わす


『え…』

今まで爆豪が素通りしていた存在に
初めて対面する覚悟を決めたようだった



「…」


私の言葉をじっと待つ彼に
諦めと懐かしさを抱えながら


もう一人の大切な人を
思い浮かべる


『…そうだね、翔は…いわゆる幼馴染で…それで……』




ああいや

それだけじゃない



そんなものだけじゃない


翔が特別なのは


他にも二つ


意味がある







『翔は……初恋の人だった』



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