第2章 始まり
緑谷は地面に膝を付いて涙をボロボロ流していた
“無個性”だからという理由でいろいろと言われたことがあったのだろう
『(一番言って欲しかった言葉だったんだね…)』
は緑谷の背中を擦った
オールマイト「君なら私の“力”、受け継ぐに値する!!」
緑谷「……へ?」
オールマイト「何て顔をしてるんだ!?「提案」だよ!!本番はここからさ、いいか少年…。私の“力”を君が受け取ってみないかという話さ!!」
力んで話したせいか盛大に血を噴出した
緑谷「(チカラヲ…?何を言ってるんだ?オールマイト…」
『はい、ハンカチ使って』
オールマイト「うむ。すまない。私の“個性”の話だ少年」
緑谷「?」
オールマイト「写真週刊誌には幾度も“怪力”だの“ブースト”だの書かれ、インタビューでは常に爆笑ジョークで茶を濁らせてきた」
『爆笑ジョークなのあれ』
オールマイト「…ゴホンッ、“平和の象徴”オールマイトはナチュラルボーンヒーローでなければならないからね。私の“個性”は聖火の如く引き継がれてきたものなんだ」
緑谷「引き継がれてきた…もの!?」
オールマイト「そう。そして次は君の番だと言うことさ」
緑谷「ちょっ…!ちょっ待っ…待ってください!」
そして小さな声でブツブツと独り言をし始めた
オールマイト「君はとりあえず否定から入るな!!ナンセンス!!」
緑谷「ナ…!」
オールマイト「私は隠し事が多いが嘘はつかん!個性を“譲渡”する個性…。それが私の受け継いだ“個性”!冠された名は「ワン・フォー・オール」」
緑谷「ワン・フォー…オール…」
オールマイト「1人が力を培い、その力を1人へ渡し、また培い次へ…そうして救いを求める声と義勇の心が紡いできた力の結晶!!」
緑谷「そんな大層なもの何で…何で僕にそこまで…」
オールマイト「元々後継は探していたのだ…。そして君になら渡してもいいと思ったのさ!!“無個性”でただのヒーロー好きな君は、あの場の誰よりもヒーローだった!!」
『緑谷くん』
オールマイト「君次第だ!」
緑谷は目を服の裾で擦って涙を拭いた
緑谷「お願い…します」
オールマイト「即答。そう来てくれると思ったぜ」
あのままだと力が大きすぎて受け継いでも体が耐え切れないため、オールマイトのもとで特訓を始めることになった