第23章 抗う運命
緑谷との服を震えながら握り、発した声はか細かった
緑谷「あの…娘さん、怯えてますけど」
治崎「叱りつけた後なので」
通形「行こう」
『でも…遊び盛りって感じの包帯じゃないですよね…?』
治崎「よく転ぶんですよ」
緑谷「こんな小さい子が声も出さず震えて怯えるって…普通じゃないと思うんですけど」
治崎「人の家庭に自分の普通を押し付けないでくださいよ」
通形「性格は様々だよね(やめろ…!明らかに詮索を嫌がってる!警戒が強まれば益々シッポを出さなくなる!無難にやり過ごすんだ!!)」
緑谷「(違う先輩!そのほうが怪しまれる!不自然だ!)」
『(だって…ヒーローが怯えた子供をやり過ごすわけがない!)』
緑谷「この子に何してるんですか?」
治崎「………ふう。全くヒーローは人の機微に敏感ですね。分りました」
「「『!』」」
治崎「恥ずかしい話です。人目につくし……こちらに来てもらえますか」
治崎は路地裏へ入っていった
通形は頷き、緑谷がエリを抱え治崎についていく
治崎「実は最近エリについて悩んでいまして。何を言っても反抗ばかりで」
通形「子育て…ですか。大変ですね…」
治崎「ええ。難解ですよ子供は。自分が何者かになる、慣れると本気で思ってる」
『!』
エリは緑谷から離れ治崎の隣へ
緑谷「え…!?」
治崎「なんだ…もう駄々は済んだのか?」
エリは頷いた
緑谷「え、あの…エリ?ちゃん…?」
治崎「いつもこうなんです。すみません、悩みまで聞いてもらって。ご迷惑をかけしました。ではお仕事頑張って」
緑谷「待って…!!何で……」
通形「追わないよ。気づかなかったかい。殺意を見せつけてあの子を釣り寄せた」
緑谷「…!」
『………っ』
通形「深追いすれば余計に捉え辛くなる。サーの指示を仰ごう」
通形はバブルガールに連絡し、合流することに
通形「すみません!事故りました!まさかあんな転校生と四つ角でバッタリみたいな感じになるとは…」
ナイトアイ「いや、これは私の失態。事前にお前たちを“見て”いれば防げた」
バブルガール「とりあえず無事でよかったよ!下手に動いて怪しまれたら危なかったかも」
緑谷「そんな恐ろしい感じには…」
ナイトアイ「先日、強盗団が逃走中、人を巻き込むトラック事故を起こした」