第19章 俺の所為でアイツは……
美月の怒鳴り声に目を向けると美月は普段よりもキツい口調で言う。
「バカ兄貴は一体何がしたかったのよ‼︎ 女の子に傷を負わすなんて最低よっ‼︎」
「……」
「彼女が言っていたわ。 怪我のことは兄貴に言わないで、って。 けど、あの子の悲しげな表情を見ちゃったら……」
「……」
「華菜さんは兄貴に何かを伝えようとしていたみたいだったけどそれをバカ兄貴は聞かなかったみたいね?」
「それは……」
「バカ兄貴が逃げずにちゃんと会って話を聞いてあげてればこんなことにならなかったかもしれないのに……このバカ兄貴っ‼︎」
「……!」
(確かに美月の言う通りだ……。 俺があの時、屋上でアイツに会って話を聞いていればきっと華菜を傷つけずに済んだはずだ……)
俺はアイツを守るつもりが傷つけて……
悲しませて、怪我を負わせてしまった……
しかも、その怪我のキズが残るかもしれないなんて……
(そんなことになれば俺はアイツになんて詫びればいいんだーー……)
そんなことを思っていると奥の部屋からガラガラっと音がしたあと誰かが出てきた…。