第41章 後日談:騒がしい休日。
「だからって、休日にわざわざ探して会いに来るって……アッキー、お前は華菜の彼氏でもなんでもないだろ。 何で邪魔しに来るんだ、空気を読めよ!」
博臣先輩は不機嫌な表情で怒っている。
(それもそうか……)
休日になると騒がしくなるのはうちの兄貴だけではなかった。
神原秋人もその一人なのだ。
「えー……だって、早く春野さんにこの眼鏡を掛けてもらいたくて……」
「そんなのは昨日の部活のうちに済ましておくか明日の部活時間の時に済ませるかにしてくれよ、頼むから……」
博臣先輩は肩を落として呟く。
「そんなこと言われても突然そういう衝動に駆られたんだからしょうがないだろ……!」
「我慢しろよ! ……ったく、毎週 毎週どれだけアッキーは俺達の休日を台無しにすれば気が済むんだ! 昨日言ったよな。 『明日は華菜と過ごすから邪魔するなよ』って‼ 事前に言ってあったのに何でお前はここにいるんだよっ‼」
博臣先輩は頭を抱えて嘆いていた。
「……博臣先輩、もう諦めましょうよ。 うちの兄貴と同じで何度注意したところでわかってはもらえないんですから……」
「だけどな、華菜……」
「先輩、諦めましょう。 ……諦めるしかないんです」
私がそう言いながら神原秋人に目を向けると、彼は何かを考えながら独り言を呟き、何やら一人で楽しそうにしていた。
「……アッキーはもう既に自分の世界に入ってしまっているな」
「……そうですね」
「はぁ……もう諦めるしかないのか」
「……諦めましょう。 人間、諦めが必要な時もあるんですよ」
「そう、だな……」
そう呟き合い私達は神原秋人を見つめ、
二人して肩を落とし、ため息をつくのだった。
(完)