第40章 そしていつもの日常に戻り……(完)
「……兄貴。 私がいま言ってる"兄貴"は兄貴のことじゃないわよ?」
「へ? ……じゃあ、一体誰のことを言って……」
「私が言ってるのは彼女の……華菜さんの"お兄さん"のことよ。 ここ最近また家で構ってくれオーラを放ってるお兄さんの相手をして疲れ果ててるの、って言ってたのよ。 だから多分、今は兄貴のことすら鬱陶しい存在になっていて冷たくあしらわれてるんじゃないかしら……」
「……そうだったのか」
博臣はそう呟き、今もなお、離れた場所で本を読み続けている華菜に向けたのだった。
「まぁ、暫くはそっとしといてあげなさいよ、兄貴」
「………」
博臣は美月から聞かされた言葉を聞き、黙り込んでしまう。
数秒後ーー部活終了時間を告げるチャイムが部室に響き、華菜は読んでいた本をパタンッと閉じ、立ち上がったのだった。