第33章 美月ちゃんから告げられたのは……
「……どういうこと?」
私は神原秋人が呟いた言葉を聞き、尋ねた。
「いや、さっき博臣が言ってたんだ。 『近いうちに<答え>を出さなきゃならない……』って……」
「…………」
「そうか……。 博臣と春野さんが言ってた<答え>ってそのことだったんだね」
神原秋人の問いかけに私は頷いた。
(そっか。 近いうちに全ての<答え>が出るんだ……)
「…………」
そう考えると……
「春野さん? どうしたの?」
「私……勝てる自信なんてない……」
「え?」
「私、博臣先輩に選ばれる自信ないよ……」
「どうして今になってそんな弱気になってるんだよ⁈」
「<兄妹の絆>になんて……他人が勝てるはずない……」
不安になってしまう……。
(どんなに博臣先輩のことを信じてると言っても、こればかりは、不安になってしまう……)
「でも、博臣と約束したんだろ? だったら信じなよ! ……アイツはさ、確かに美月のことを大好きで、妹大好き変態だけどさ……常識なんかはわきまえてる奴だから。 だから、信じなよ、博臣のこと」
「神原秋人……」
「付き合ってる彼氏のことは信じてやらないと、さ?」
神原秋人は私の肩をポンっと叩いて、小さな笑みを浮かべた。
(神原秋人の言う通りだ。 ……あの日、信じるって決めたんだから最後まで信じなきゃだよね……!)
「そうだね。 ありがとう、神原秋人……」
私はそう頷いて、頬に伝っていた涙を拭った。
そして私は神原秋人に別れを告げ、家に帰った。