第31章 肝心な<答え>は言えずに……
「……あの、博臣先輩」
「……! な、何だ?」
俺は華菜に声をかけられ我に返り慌てて返事をし、彼女の顔を見る。
すると華菜は沈んだ表情で俺の顔を見つめて口を開いた。
「もしかして美月ちゃんはーー……」
華菜は躊躇いながらもそう言いかけた。
ーーだが途中で言葉は途切れた。
理由は彼女の携帯が鳴り響いたからだ。
「「……!」」
そして鳴り響いた携帯を手にし、華菜は呟やいた。
「……お兄ちゃんだ」
華菜はそれを確認してチラッと俺に目を向けた。
「出ていいぞ?」
俺がそう言ってやると華菜は頷きお礼を言って通話ボタンを押す。
そして。
「……もしもし?」
華菜は兄と話し始めた。