第31章 肝心な<答え>は言えずに……
…………
……
『私、彼女に"変態兄貴には気をつけなさい"って言っちゃったの……』
『私が彼女にそう言ったのは……彼女のためじゃないのよ……』
『私自身のため、よ……』
…………
……
最初は本当に美月が言っていたことに理解ができずにいた。
けれど……
『ごめんね、兄貴……私、兄貴のことを……』
あの時の美月が言った……
『……好きみたい……なの……』
……
あの言葉を聞いて、美月が言っていた『私自身のため』といった意味は理解した。
だが……
その言葉を『そうか』で片付けられはしなかったし、片付けられるものでは、なかった。