第30章 二人の頭に過ったのは……
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……
「……美月が自分の部屋に戻ったところまでは良かったんだ。 良かったんだが……」
博臣先輩は昨日の出来事を思い出しながら私にそう話してくれていたのだが……
「そのあとに何かあったんですか……?」
私は博臣先輩にそう尋ねる。
すると。
「俺と話していた時の美月の様子が普段と違っていたように感じてあとを追って美月の部屋に行ったんだ。 だが、部屋にいなくてな……探し回って辿り着いた風呂場で……」
博臣先輩は少し顔を赤くしながら何かを思い出しているようだった。
「あの、博臣先輩……一体何があったんですか、風呂場で……」
私はやや不機嫌になりながらそう呟く。
「あっ、いや……実は、だな……美月の裸を見てしまって、だな……」
博臣先輩はゴニョゴニョッと小さな声でそう言いながら私から目線を外した。
(美月ちゃんの裸……?)
「それで水を、だな……」
「……どうしてそれで水を浴びせられるんです?」
「え……?」
「兄妹だったら恥ずかしがったりしないのでは……?」
私がそう言うと博臣先輩は何故か焦りだしながら声を上げる。
「ちょっ、ちょっと待て華菜っ‼︎ 兄妹だろうと恥ずかしがったりするものだろ⁈」
「……?」
「お、お前はまさか自分の兄貴に裸を見られても平気でいるのかっ⁉︎」
博臣先輩は私の肩を掴み、そう尋ねてきた。 私はその問いかけに頷くと博臣先輩は青ざめた顔をしていた。