第26章 いつもと違う博臣先輩
博臣先輩に名前を呼ばれて、私は博臣先輩の手にそっと触れた。
すると博臣先輩は私の手を軽く握った。
「……博臣、先輩……?」
私がそう声を漏らすと薄っすらと博臣先輩の目が開いて、私を見た。
「……華菜……?」
「大丈夫ですか? 博臣先輩……」
「あぁ……。 それより……何でお前が……俺の部屋に……?」
そう訪ねてきた博臣先輩に私は答えた。
「えっと……神原秋人から……"博臣先輩が風邪を引いた"って聞かされて……」
「秋人から……?」
博臣先輩は不思議そうにそう呟いた。
「あー、えっと……神原秋人は美月ちゃんから聞いたらしくて……」
「……そういうこと、か……」
「はい。 ……それで……博臣先輩は何で風邪なんて……?」
私がそう尋ねると博臣先輩は……
「昨日、美月と……色々と……あってな……」
博臣先輩は苦しげな声を出しながらそう答えてくれた。