第26章 いつもと違う博臣先輩
苦しげに私の名前を呟いた博臣先輩の声をドア越しに聞いて心配になった私は博臣先輩の部屋へと入ることにした……。
「……し、失礼しまーす……」
私は小さな声でそう言いながら恐る恐る博臣先輩の部屋に足を踏み入れた。
「……」
私が部屋に入るとそこには苦しげに魘(うな)されながら目を閉じて眠っている博臣先輩の姿があった……。
(本当に風邪を引いていたんだ……)
博臣先輩の部屋に入るまで冗談だとばかり思っていた……
神原秋人から聞かされた時も半信半疑でいた私。
だけど……
博臣先輩は本当に風邪を引いていた…。
(疑ったこと、反省しなきゃな……)
そういえば、博臣先輩が"風邪を引いた"っていう情報源は元々、神原秋人じゃなく博臣先輩の妹の美月ちゃんだったんだ……。
(本当、疑ったことを反省だな……)
そんなことを思いながら私は博臣先輩が寝ているベッドへと近づいた。
すると……
「……華菜っ……」
「⁉︎」
博臣先輩はまた私の名前を呼んだ……。