第23章 私の兄は極度のシスコン変態兄貴です。
「お、おい、お前は誰だっ‼︎ 何故俺だけの妹に抱きついているんだっ‼︎」
そう言いながら俺はズンズンと華菜と男の元へと距離を詰める。
「ちょっとお兄ちゃ……。 ……兄貴っ‼︎」
(……我が妹よ、何故"お兄ちゃん呼び"をしてくれないのだ……‼︎ いや、今はそんなことはどうでもいい。 今は……)
「……で、お前は誰で、華菜の何なんだ⁉︎」
そう叫び気味に俺は目の前にいる男に問い掛けた。
(というか、早く華菜から離れろっ‼︎)
「えっと、俺は名瀬 博臣です。 華菜とは同じ学校で彼女の先輩です」
(学校の先輩……? なるほど。 いや、それよりコイツ今、妹のことをサラッと『"華菜"』と言いやがったぞっ⁉︎)
一体、何様なんだよ、お前はっ‼︎
「妹を名前で呼んで良いのは兄である俺だけなんだぞ⁉︎」
「ちょっ、兄貴っ‼︎ 博臣先輩の前でそんなことを叫ばないで‼︎」
(ん? 俺はまた声に出てたか……?)
まぁ、そこはどうでもいいが……
「……何故お前もその男のことを名前で呼んでいるんだ⁉︎」
「私が誰を名前で呼ぼうがどうだっていいでしょっ‼︎ そんなことよりも博臣先輩を睨みつけるのはやめてよ、兄貴っ‼︎」
妹はそう言いながら俺を少し睨んできた。