第186章 〜後日談〜Halloweenイタズラ〜弓乃×政宗様
バイキング二回。
昔は、平気だっただろうが……
さすがに朝早く起きて仕込みしてたからか、睡眠不足でキツイ。
暫く休んだら治るだろう。
そう思い、ベンチに腰掛けて頭に腕を乗せ視界を塞いでいたら……
(っ!!!)
いきなし冷たいモンが降ってきて、ビビった。隣から急に弓乃の気配が消えたのは、気づいていたけどな。
(しおらしい所も、少しはあんじゃねぇか)
有り難く使わせて貰う。
弓乃は基本勝気な性格だが、
何だかんだ女らしい部分も持っている。
(静かだと、逆に落ち着かねぇけどな)
自分がバイキングに二回乗せた、責任感からか……普段ならあーだこーだ鳥みたいに喋り捲る癖に、えらく静かだ。どうやら、それなりに気を遣ってるらしい。
視界を塞いでいるから、
何してんのか様子は見えないが……
気分が悪い時は、
構わないで貰うのが一番助かる。
どれぐらい、そうしてたか。
はっきりとした時間はわからねえ。
大分、気分が回復した俺はそろそろ頭を上げようか、もう暫く休もうか悩んだ時だった。
「ねぇ。一年の子に、なんて返事したの……?」
前触れなく、ちょっとした疑問みてぇに。普通に聞いてきやがった。
逆にそれがやけにイラついて、
「……お前には、関係ねぇだろ」
自分でも思った以上の低い声。
愛想もへったくれもない。
ただ、素っ気ない返事をする。
興味があんのか、ないのか中途半端な聞き方に無性に腹がたつ。
俺はハンカチを取り、起き上がる。
それっきり何にも言わねぇ弓乃。
「腹減ったし。空いてる場所でも探しに、行くぞ」
顔も見ず立ち上がり、ハンカチだけ返そうと手を後ろに向けた時だ。
ガチャンッ!!
手首に感じた違和感。
冷たい異物と軽い締め付け。
俺は驚いて自分の手を見れば、
「答えるまで、取ってあげないからっ!!」
目頭に涙を溜めて睨みつける弓乃の手と、手錠で繋がれていた。