第185章 〜後日談〜Halloweenイタズラ〜全員
ゆっくり離れていく家康。
ひまりはまだ、ぽっーとしたままその姿を目に映す。
白いシャツ、黒いベスト、スラッとした黒いズボンは、家康の長い脚の魅力を最大限にいかす。そして首についたクロスタイ、フォーマル手袋、片目のモノクル。
雰囲気はどう見ても執事。
しかし、ベストの胸ポケットからチラリと覗く、金のチャーム。あと一番気になってたのは……
「家康?手に持ってるのって……うさぎの耳??」
ひまりが右手に視線を移すと、家康は「忘れてた」ボソッとそう言い、
「何か、懐中時計も仕込まれたし……はい。耳はひまりが付けて」
ツインテールの頭につけた。
「懐中時計?もしかして、不思議の国のアリスが追いかける白ウサギの仮装?」
家康は、執事風白ウサギコスプレ。
ひまりは、頭につけられた耳を手でフニフニして「付けてる所、見たかった〜〜〜」駄々をこねるような、声を出す。
無理。家康は即答。断固拒否。
コンテナボックスの中で、スタッフに差し出された鏡で見た時、思わず絶句していた。
「絶対、似合ってたのにーっ!一回だけで良いから!」
「無理。絶対に無理」
「一瞬で良いからーっ!お願い?」
しつこく強請り、自分の頭からうさ耳カチューシャを外そうとするひまりを、家康は引き寄せ……
「可愛いから付けてて。後、しっかりジャケットも羽織って」
良い子にして、言いつけ守りなよ。
ひまりお嬢様。
極アマボイスをお見舞い。
その台詞にはひまりも、完全にノックアウト。うっ。と短い声を詰まらせ、自分を見下ろす家康に恨めしげに、目を向ける。
イチャイチャ。
誰がどう見ても、お似合いカップルの二人に注がれたのは、羨望の視線。
「ったく。周りに注目されてんの、全く気づいてねえな。アレは」
「良いなぁ〜ってか、私も早くひまりぎゅーってしたいんだけど!」
「とりあえず、メリーゴランドに乗って待ちましょうか?」
「……なかなかの勇者ね。三成くん」
六人がまず最初に乗る乗り物は、どうやらメリーゴランドに決定しそうだった。