第185章 〜後日談〜Halloweenイタズラ〜全員
さて、皆んなの期待?を背負った二人は……今、何とか無事に着替え終わった所。
女子専用のコンテナボックスの中。
「抱きしめたくなるぐらい、可愛いです〜〜っ!ぜひ、楽しんできて下さいね!」
スタッフ達は、拍手喝采。
「あ、ありがとうございます」
ひまりはペコッ、ペコッと、数人のスタッフに体を向け、一人ずつに頭を下げた。それには理由が……衣装サービスだけでなく、ヘアセットまで念入りされ、他のお客の二倍の時間はかかっていたのだ。
有難いやら、申し訳ないやらで、丁寧に挨拶だけして出口に向かう。
(家康、可愛いって言ってくれるかな)
ピラッとスカートを摘み、くるっくるっと目で姿を確認して、少し期待に胸を躍らせる。
外に出た瞬間。
ゴクリと息を飲む男達。
ひまりは注がれる熱い視線など、全く気づくことなく歩いた。
そして、
男子専用のコンテナボックスでは……
(……はぁ。何で俺がこんな)
家康は身に纏った衣装を指で摘み、うんざりしたように、盛大な溜息を隠すことなく吐く。
「君の良さを最大限にいかせた!ぜひ、楽しんで来てくれ!」
「……どうも」
頭についた異物……いや、ある飾りを出たら速攻取ると決め、数人のスタッフに軽い挨拶だけして、擦り抜ける。さんざん時間を掛けられ、もう既にひまりの糖分切れ。
(やたらと邪魔なモノばっか、付いてるし)
テーマがよく分からない衣装に、自然と足が重い家康。しかし出口に出た瞬間、近くに居た女性のハートを鷲掴みした事は間違いない。
ぽっーと、見つめる視線に見向きもせず、ひまりを求め長い足を、進めた。